「MOOD HUT」と一致するもの

随分前から指摘しているように世界のエレクトロニック・ミュージシャンはおそらくあと10年くらいは同じことをしていても生きていけるであろうその恵まれた環境に鎮座せず進むべき道をいち早く発見した者のみ未来とカルチャーを掴みとる。パンデミックを経て"わかっている"者たちの数人かが行動を起こし素晴らしい作品を発表しているがそしてMood Hut組。正直個人的にはそのままそのぬるま湯に浸かり溺れていくのであろうと思っていたのだけど土地柄のDIYスピリッツからであろう。完全に見つけてしまっている。そしてそのメイン・キャラであるはずのJACK Jの2022年に発表した本人初となるフルレングスは昨年のSUZANNE CRAFTのあっと驚くアルバムに被せて全てを自分の物にしてしまうかのようなドリーム。ネオアコゾンビには出来ない軽やかな疾走感、田舎のエレクトロニック・ミュージシャンからは指を刺されそうな危なかしいヴォイス、だからこその反逆精神とだからこそのドリーム、TORO Y MOIの素晴らしいのに何か惜しいいラインを埋めるインディペンデントなどなど、もうこれでいいんじゃないかと今日もターンテーブルに乗せるであろう2022盤。初回プレスは即完売した模様です。

=BACK IN=　 ヴァンクーバー〜モントリオールの女性プロデューサーPhoebé GuillemotによるRAMZI、Total Stasis、Mood Hut、RVNGに12th Isleとキレまくったセンスのレーベルたちに指名されるなかより高みへとオリジナルの世界へ。東南アジアのとある密林部族ががトリップ・ホップを発見し演奏したようなとこへさらにJOHN T. GASTばりの牧歌RPG感まで併せ持つ異形のアフロの中に静けさまでを感じるスピリチュアル・ディープ・ダブ・ダンスの傑作盤。ラストにSUZANNE　KRAFTの別名義SK U KNOWとのコラボ新曲も収録。

D.TIFFANYやMood HutのNEO IMAGE、World Buildingからの音源が完璧だったFLORISTなどカナダ系ディープハウスのオールスターを集めるというヴァンクーヴァーのレコード店のレーベルだからなのかすごいコネクションを見せていたPacific Rhythmのコンピ第三弾の冒頭で傑作トラックを披露していた新人SLIM MEDIA PLAYERの単独デビュー12インチが到着。Mood Hutや1080pなどのレーベル・イメージを兼ね備えながらフレンチタッチをうっすら感じるベースや90'sなハットづかいにトライバル、さらにディスコ・ネタが入ってくるこの手では珍しい新機軸が白昼夢から桃源郷へと誘い熱くするドリーム・ウェイヴ・ハウス4トラック。

=BACK IN= R&S傘下に設立されたMagicwireからの12インチが各所で絶賛されていたハンガリーはブダペストのハウス・プロデューサーGNORKが自主レーベルを設立し初のフル・アルバムをテープでリリース。No `Label`のSTUMP VALLEYがMood Hut~1080pやFutre Times入りしたようなコンガと涼しげなシンセがネオ80'sするサマー・ハウス・ジャム2017なアルバムとしても素晴らしい1本。